サラリーマンプログラマから

転職活動を機に始める浅はかなブログ

iPhoneが壊れた

iPhoneが壊れた。 画面の輝度が安定しないなと思っていた矢先、画面に緑のノイズが入るようになった。そこから画面がうつらなくなるまでそう時間はかからなかった。 ものすごく焦り、動揺した。これから話すのは壊れたiPhoneとともに悪戦苦闘した経験を後世に残すための記録である。

iPhoneが壊れた。 金曜日の夕方、いつものように家で仕事をしていたときだった。iPhoneは仕事中、かんたんな調べ物をするときに使用することがある。その他慣例的にトイレに持ち込む。iPhoneはトイレで壊れた。

iPhoneは緑のノイズを発した。私はひどく焦った。動揺した。生活の多くはiPhoneに依存している。ゲームなどで余暇を過ごすため、他者と連絡をとるため、支払い、私が私であることの証明。iPhoneが生活の中で担うものは多岐にわたり、どれも重要なものである。iPhoneの機能を制限された状態ではことさら重要なものに感じる。それは冷静さを失わせるほどである。私は冷静さを欠いた状態で1つの行動を選択した。「画面にノイズが入るということは液晶との接触に問題があるのではないか?」この思いつきは真っ当に思えた。もちろんiPhoneを開いて液晶に刺さっているフレキをいじってみる、なんてことはできない。昭和生まれの私がとった行動は単純明快である。叩いた。ただ、叩いた。叩くことによる接触の回復を図ったのだ。幾度かiPhoneを叩くとノイズすら発しなくなり無表情になった。もともと予定されていた結果ではあると思うが、私の行動がiPhoneからより早く表情を奪った可能性はそう低くはない。昭和的な、安易な対応はやめよう。まずは電波が入らないときにiPhoneを振ることからやめていこう。

iPhoneから表情は消えたが生きている事はわかる。iPhoneiPhone XS MAXだ。3Dタッチを忘れることができず、2年以上使い続けている。私はapple信者になりきれていない。iPhoneはFaceIDの失敗でブルッと揺れてくれる。反応がまだある。iPhoneが生きている証拠だ。iPhoneは無表情になってしまったがまだ息がある。まだ息があるということはデータを取得できる可能性があるということである。私の頭のなかでは、「液晶を交換すればもとどおりになるはず」という考えが浮かび、次第に広がっていった。この時点で私は「データを消さないために修理する」を最良のゴールとした。

iPhoneの画面をスワイプし、iPhoneがまだ生きていることを噛み締めながら、私を取り巻く状況を思い返していく。まずは保証についてだ。私が手にしているiPhonedocomoから購入した。apple storeではない。apple careには未加入だが、docomo独自の保証サービスに加入している。たしか、自責他責に問わず10000円で交換できるという保証だったはずだ。ただし、私は今「データを消さないために修理する」に向かっている。交換は最良ではない。ただ、相談先は決まった。交換も視野に入れて、apple storeiPhone修理を謳っている店舗ではなくdocomoに相談することに決めた。次にdocomoへの相談をどのように達成するかだ。私にはiPadとPCがある。電話回線はiPhoneのみで、代替機のようなものはない。つまり、電話はできないがネットからのアクセスは可能である。いろいろな調査も可能だ。まず自身の契約状況が気になる。保証は今も有効であるのか。契約の見直しなどをサボり続けているため、どうも信用できない。さらに、契約状況を確認すれば近くに相談できる窓口がみつかるはずだ。私はiPadを使用してdocomoの契約状況を確認することにした。docomoのページへ行き契約状況の確認を試みる。ログインを求められた。IDとパスワードは1passwordに記憶されている。楽勝だ。次にセキュリティコードの入力を求められた。画面には小さく私の電話番号の下4桁が記載されている。私は焦った。smsに送信されたであろうセキュリティコードを見ることができない。iPadにもPCにも届かない。無表情のiPhoneが寡黙に受け取っているのであろうことが想像できた。無表情なiPhoneを見ながら少し笑みがこぼれた。私は再びログインページへ目を向け隅々までなめるように見回した。googleのログインではsmsの他にメールなどが選択できたはずだ。電話がかかってくるようなサービスもあったと記憶している。私はsms以外にセキュリティコードを確認する方法を探した。脱出ゲームのように画面のあちこちをタップした。思いは届かなかった。docomoはsms以外にセキュリティコードを送信しないようだった。私は少し天を仰いだ。

ネットからのアクセスを諦めて電話回線を探した。公衆電話を思い浮かべる。電話番号をメモした紙を片手に公衆電話から電話を掛ける私自身の姿が浮かぶ。公衆電話はどこにあるのだろうと記憶をたどるが、普段意識しないものが記憶されている可能性は驚くほど低い。遠い昔に使った実家の最寄り駅付近の電話ボックスが浮かぶだけだった。現実へもどり改めて状況を整理しようとした。ネットからのアクセスができないということは制限時間があるということでもある。昨今の時世からすると、予想以上に制限時間が迫っている可能性が高い。時間的な焦りも加わった。悲観しても仕方がないので、すこしでもアイディアを出すよう心がけると素晴らしいものが目に入った。apple watchだ。これには私も肩をなでおろし安堵した。と同時にすぐに気づかなかったことを恥じた。最近はもっぱら目覚まし時計としてしか使用していないとはいえ、気づくのがおそすぎると少し自分を責めた。目の前にあるapple watchはcellular modelであり、docomoとの契約もできている。apple watch単体でモバイル通信ができる。電話もできるはずだ。ランニング中にiPhoneを持ちたくないのでcellular modelにした自分を誇りに思った。ランニングなんかしていないが。まずはsmsが見れないかを冷静に確認する。smsが見れればネットからの手続きができる。結果は残念なものだった。いくつかのメッセージは見れたが、セキュリティコードはなかった。何が見れて何が見れないのかわからなかった。私は再びネットからの手続きを諦めざるを得なかった。

気を取り直してdocomoへ電話をかけることにした。ただし、apple watchからの電話はかなり癖がある。iPhoneで電話しているのをapple watchで操作しているのか、apple watchから電話をかけているのかが分かりづらい。同時に、airpodsもどちらに接続されていて、どちらから音声が聞こえるのかが分かりづらい。私はまず、iPhoneの電源を切ることにした。電源が入っているかはFaceIDを失敗させればわかる。電源を切る動作も、ハードキーを長押しした後、記憶を頼りにしてではあるが、画面の一部をスワイプすればいいだけである。電源の操作以外に緊急時の何かがあった気がしたので少し不安になりながら画面の上部をスワイプする。おそらく成功した。それでもapple watchの電話は分かりづらい。試しにiPhoneから離れたところでapple watchを操作すると多少の改善を見せた。これはiPhoneの電源が入っていようと効果があった。私はひとまず、airpodsから電話の音声が聞こえることと、プッシュトーンが送信できることを満たす奇跡の回を待った。奇跡は比較的早く訪れた。

プッシュトーンを操作し、オペレータを目指す。docomoは比較的オペレータに繋がりやすい印象があるが、それでもつながるまで長い時間を要するのではないかと覚悟した。しかし私の覚悟を無にするほどあっけなくオペレータにつながった。一安心だ。あとは変な操作をせずに通話を維持できれば解決へ向かうと確信した。オペレータに状況を説明し、オペレータの質問に答え順調に対応は進んでいく。保証サービスにも加入していた。交換が11000円 + 税。少し記憶と違うがまあ許容範囲だ。修理に関しては5000円+税だったと記憶している。ネットからなら10%安くなるというなんとも言えない提案にも笑って答えた。続けて、交換であれば2日程度で新しいiPhoneが届き、届いたのちに現在のiPhoneを返送すればよく、修理であれば2週間程度かかるとアナウンスされた。「データを消さないために修理する」を心に刻んでいた私は修理を選択する。一つのミスを犯して。

修理を選択するにしても2週間スマートフォンがない生活は不可能だ。修理に際しては代替機が必要だ。この要望に対してオペレータは親切にドコモショップへの代替機の確認と来店予約を提案してくれた。近くのドコモショップ名も一緒に。私はオペレータとの通話を終えると近くのドコモショップiPadで探しapple watchから電話をかけた。事情を説明すると代替機の用意と来店予約をスムーズに対応してくれた。これで問題は80%解決したように思えた。

来店予約の時間をほぼ最速の時間としてもらった私は、あらためて時間を確認し移動時間などを計算した。時間はほとんど残されていない。私はすぐに家を出ることにした。軽く電車に揺られたのちにドコモショップへ到着し、呼び出されるのを待った。iPhoneが無表情になってからここまで非常にスムーズだったなとあらためて感じた。程なくして窓口へと案内された。 担当の方に現状と修理したい旨を伝えた。電話でオペレータとしたやり取りと同じようなものだ。同じようにミスも繰り返した。

電話との違いは具体的な操作が始まることだった。修理をお願いするには「iPhoneを探す」を無効にする必要があるらしい。修理の際はAppleIDとパスワードが必要と言われたのはこのためだったようだ。「iPhoneを探す」を無効にする方法はいくつかあるらしいが、iPadを持参した私は、自身のiPadから無効にすることにした。ドコモショップの端末からも可能だが、IDやパスワードを入力する手間と自分の管理外端末に入力するセキュリティ的な気持ちの悪さを考慮してくれた。「探す」アプリから「iPhoneを探す」は無効化できたはずだ。思い返してもここで無効化できたと思っている。しかし、担当の方は「iPhoneを探す」がうまく無効化されていないので修理の手続きが進められなかったらしい。もう一度確認してみる。「探す」アプリでは「デバイスを探す」のiPhoneには無効と表記されていた。修理の手続きを確認すると、ここで端末自体の表示が消えている必要があるらしい。私は引き続き「探す」アプリを操作し、デバイスの削除を行った。ここが分岐点であり、最後のチャンスであったことにも気づかずに。

バイスの削除を行ったことで修理の手続きは次の段階へ移行した。代替機の準備が進められる。画面が小さくなるのと、無線充電の有無を少し気にしたが仕方がない。続いて修理についての説明が行われる。料金の説明などを淡々と聞いていたが、私にとって衝撃の内容が飛び出した。

「修理端末のデータは削除されます」

これにはひどく困惑し、自分のミスに気づいて後悔し、申し訳ない気持ちになった。私のミスは「データを消さないために」を終始伝えてこなかったことだ。「修理したい」とだけ伝えてきたことだ。修理したときのデータがどうなるかを確認しなかったことだ。漠然と液晶に吸盤をつけて少しずつ蓋を開けていくような修理を想像してしまっていたため、データはほぼ生き残ると思っていたことだ。

私はすぐさま交換へ切り替えた。封印を解いた代替機を無駄にしてしまうことに胸が痛んだ。しかし、データが消えるのであれば交換のほうが圧倒的にメリットが多い。状況が復旧するまでの速さ、故障端末を手放すまでの猶予期間、代替機の返却などの手間。デメリットは差額料金の5000円と新しい端末が届くまでの時間ぐらいなものだ。新しい端末も翌日夕方には届くらしいのでほとんど問題にならない。また、画面が見えないだけであれば、画面だけどこかにうつせればデータの確認ができるのではないかというアイディアも思いついていた。AirPlayは難しいと思うが、QuickTimeで有線接続すれば可能性はあるのではないかと思っていた。この時点ですでに手遅れではあるのだが。

その後は、交換の手続きを進めた。ついでにプランの見直しや、ドコモ光の契約についてなど色々と長時間に渡って対応をしていただいた。自宅の回線をソフトバンク光からドコモ光に変更できただけでもすごく有意義だった。閉店時間を過ぎてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいではあったが。

スッキリとした気分で自宅へ戻り、思いついていたアイディアを試すことにした。MaciPhoneを有線接続し、QuickTimeを起動した。「新規ムービー収録」からiPhoneを選択するとiPhoneの画面が表示された。ただし、iPhoneは私のことを覚えていなかった。ただ、いろいろな言語で挨拶を繰り返すだけだった。私の母国語がなにかすら忘れてしまったらしい。データ消去を受け入れていた私は、ひどく落胆することはなかったが、自分の行動をふりかえり、あらためて冷静ではなかったと反省した。 iPhoneはおそらく、「探す」アプリでデバイスの削除を行ったときに私のことを忘れたのであろう。iPhoneをどこかに置き忘れた、失くしたときを考えるとデータを初期化できるのはすごく有用だ。また、デバイスの削除を行うと設定画面から確認できるAppleIDに紐付いた端末の一覧からも削除される。ただ、これらの効果を「iPhoneを探す」を無効化するという説明から想像できるかは見直す余地があると思う。 しかしながら全ては私が犯したミスが原因であることは明白である。

わたしは、Macにうつる無垢なiPhoneの画面をみながら、手探りでiPhoneを操作しながら初期設定をしてみたりした。キーボードや、パスコードの画面はMac上にうつらないらしい。パスコードの設定はなんとかできたが、Wi-Fiのパスワードが入力できず断念した。

わたしは無垢で無表情なiPhoneをそっと置き、使用していたワンタイムトークンアプリの強制解除方法を確認することにした。

ここまでが私が体験した、iPhoneが壊れたときの物語である。注意点や気づきを以下にまとめることにする。

  • 機器に衝撃を与えて好転する事がある時代はとうの昔におわった。
  • ドコモに関する手続きをWebから行うためには、smsの受信環境が必要である。
  • ドコモの保証サービスは交換でも修理でもデータの消去が必要である。
  • iPhoneを探す」を無効にするの先にデバイスを削除するがあり、デバイスを削除するとそのデバイスは初期化される。
  • iPhoneMacQuickTimeを使用すれば特別な操作無しで画面のミラーリングが可能。(過去に認証していた可能性があるのでiPhoneが元気なうちに接続しておいたほうが良いと思われる)

以上である。

ドコモの新サービスである「ahamo」に注目していたが、今回のドコモショップのサポートや、何より端末が故障したときのWeb手続きの不便さを目の当たりにしたことで軽い気持ちで乗り換えることは難しいと感じた。 やはり世の中、餅は餅屋な部分は大いにあり、餅屋に投資しておくことは一定の効果を持つものだとあらためさせられた体験であった。